
「先生、これ」
去年のバレンタインの話。
母の通う病院の先生に
「今度の診察の時に、チョコを渡したい!」
としきりにあげたがる母。
けど、以前にお菓子を渡そうとしたら
「受け取れません!」と突き返されたことがあった。
「病院では、規則があって無理やで」と
母をあきらめさすしかなかった。
そして診察の日、
「先生、これ」と母は、先生に渡そうとした。
あれだけ渡したらあかんと言ってるのに・・、
けど、目を凝らしてよくみると、
バンドエイドだった。
「なっ、なにそれ?」と、驚く私と先生。
母曰く、「先生の手、私と同じようにあかぎれになってはるので、
これ、使て下さい」ということだった。
「いや・・、ここは病院ですから、バンドエイドみたいなのは
充分ありますので・・」と言いながらも、母のあまりにもあきれた行為に
先生は受け取らはった。
私も、これで母の気が済んだから良かった、
と思う間もなく再び、
「先生、これ」と何かを渡そうとしている。
今度はチョコだった。
「えっ!」と不意打ちを食らった先生は、
結局は母の熱意に降参して、受け取るはめとなった。
そして、診察室から出た母は
「へっへー、渡したった!」
と、にたりとうれしそうな顔。
不意打ち戦法で勝利したのは母だった。
ボケてたら、こんなことはでけへんわなー・・と、
妙な安心感を思い出した今日のバレンタインだった。


