「ジジババからの遺言」
子供達よ、孫達よ、日頃はナカナカ会えないが、元気でやってるか?(追記)
わしらジジババは、この世での時間も残り少なくなった。
そこでひとつ、お前達に大切なものを残したい。
それはこの国の憲法だ。
今、改憲の声を耳にするが、この憲法についてもっと知ってほしい。
この憲法は、先の大戦がキッカケで出来たものだ。
当時は、おびただしい数の人間があの戦争で亡くなった。
わしら日本人も、アジアの人たちも、西欧人も・・民族や人種を超えて、とにかく多くの人間が死んだのだ。
そういった後悔と反省を込められたものが、この日本国憲法だ。
この憲法は、当時のアメリカのGHQに押し付けられてという声があるが、決してそれだけではない。
この憲法の草案の元になったのは、当時の日本の憲法学者や有識者達が作ったものだ。
それに当時の国民の大多数は、この憲法が戦争を否定し、二度と戦争をしないと誓っていることで賞賛し受け入られたものなのだ。
だから日本国憲法は平和憲法とも呼ばれている。
まず前文に書かれている。
前文には、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を 通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦 争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託による ものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉 ある地位を占めたいと思う。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。」
どうだろう、この前文には、日本国民だけでなく全世界の国民が平和であることが書かれてある。そのためにも不戦の誓いを具体的に書いたのが憲法第9条だ。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
この憲法では、軍隊はもてない。
そして戦争は出来ないのだ。
どんなことがあっても。戦争はいったん起こるとナカナカ止められない。
その間、多くの人たちが犠牲になる。
アフガニスタンを見よ。
イラクを見よ。
シリアを見よ。
パレスチナとイスラエルを見よ。
戦争では、兵士よりも、罪もない子供や民間人が圧倒的に犠牲になっている。
戦争は、大量殺戮と環境を破壊するものだ。
そうならないように、憲法第9条は、戦争を否定している。
そして戦争を作る軍備をもたないと明記されている。
しかし残念ながら、現在、日本の軍事費は世界で第6位だ。
それは、憲法第9条があるのに、自衛隊の存在は大きな矛盾をかかえている。
そこで現在の自衛隊を国防軍という軍隊にするために、9条を変えようとしているのだ。
自衛隊が震災等で救援活動をしてきて、多くの国民が受け入られるようになったことから、軍隊にしてその矛盾を解消しようとしているんだ。
それは大きな間違いだ。
憲法第9条を変えるのでなく、自衛隊のあり方を救援活動隊として変えればいいのだ。
とかく中国や韓国との領土問題や北朝鮮のミサイル問題で、軍備をもって国防を唱える声を高めようとする勢力がある。
抑止力としての軍備をいう人がいる。
一時だけの平和は、軍備で守ることが出来るかもしれない。
けど、それは非常に危うくもろいもので、戦争のはらんだ平和といえよう。
いや、平和というのでなくただ戦争が起こっていない状態だけなのだ。
軍備では平和は作れない。平和は対話でしか作れないんだ。
政治家の粘り強い外交努力とそれを指示する国民の世論が大切だ。
強い国を、軍備を、誇りをという政治家の声にのせられてはいけない。
決して彼らの声に耳を傾けてはいけない。
経済手腕があるからといって、そのことで憲法を変えて軍備を使うことを許してはならない。
不安感をあおって抑止力のために軍備で平和を維持できると言ったり、国の威信を声高に語る政治家の言葉には騙されてはだめだ。
彼らは、戦争へ導く危険な水先案内人だ。
どうか経済を餌に平和を捨てるような愚かさをしないように。
わしらは、この憲法のおかげであの大戦以降、戦争の恐怖に会うことがなかった。
そしてこの憲法ができてから、他国の人を誰一人殺さず、又、我々も誰一人殺されなかった。
真の平和は、まずテーブルにつき、対話をし続けていく粘り強い努力が必要だ。
平和はお互いの信頼関係を築いていくしかないのだ。
身近な友人との関係も同じだ。友人とのケンカで自尊心を傷つけられることもあるだろう。
そうされたことでその友人を無視したり、悪口を言ったり、はたまた、暴力をふるってしまえば、友人関係は壊れてしまう。
これは戦争と同じ心理だ。「やられたらやり返す」というような心境では、相手と同じ土俵に立って争いの循環をドンドン作ってしまう。
それを断ち切るには、同じようにやり返すのでなく、どうしたらこの争いをなくすことが出来るのかと冷静になることだ。
決して感情だけで動かないように。
又、自分のプライドの持ち方を考えてみることだ。
外側についたプライドを自分の内側に入れることで、表面だけの問題としてとらえられると、傷つくことも少ない。
そして、いつまでも友人でいつづけようという思いを大切にするように、世界の国々とも良い関係を作っていくことが平和になっていくのだ。
これからもお前達があの恐ろしい戦争に巻き込まれないためにも、この憲法を残そう。
これは、ジジババからの遺言でもある。